こりゃもめるばい

厚生労働省は28日、今年1月時点の全国の生活保護受給者は、前月より4810人増の209万1902人となり、7カ月連続で過去最多を更新したと発表した。受給世帯も151万7001世帯で過去最多を更新。不況と高齢化の影響による増加傾向が依然として続いている。(毎日新聞)
 
厚生労働省は28日、昨年3月から今年2月までの1年間で、全国の東日本大震災の被災者から生活保護に関する4332件の相談が寄せられ、1150世帯が受給を始めたと発表した。被災地では今年に入ってから失業手当の給付期限が切れるケースが出始めており、今後も生活保護を選択する被災者が増加する可能性がある。(時事通信
 
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払うやつは「払いたくない」
貰う奴は「もっとくれ~~」
 
こりゃ揉めるぞ~~
 
 1980年代半ばからは「福祉見直し」の潮流の中で、制度適用が厳しくなり、また生活保護給付水準が急激に引き下げられて対象範囲が狭められたのをきっかけに、保護率は急減し、生活保護世帯数も減少することとなった。さらに保護率を要因分解してみるとこの時期所得水準も当時のバブル景気で大きく上昇したことも保護率の急減には大きく影響している。

 さらに、1990年代半ば以降は、再度、生活保護世帯数、保護率ともに上昇に転じており、これが、近年注目されるとところとなっている。景気の低迷、雇用構造の変化(流動化)、非正規労働者の増加などが複合的に作用していると考えられる。なお、横ばいに転じている保護基準以上に一般世帯の所得水準が下がり、生活保護給付水準が結果として相対的に上昇し対象範囲が拡大していることも保護率上昇の一因となっている。

 2009年の民主党政権の成立後、それまでの自民党政権への批判の延長線上で困窮者が生活保護を緊急避難的に利用することも是とする方針が示されたこともあって保護世帯数は一層増加傾向となっている。

 今後、所得水準の上昇がそれほど見込めない中で、若年層における経済格差の長期的な影響などによって、年金、医療といった社会保障制度がほころびを見せた場合、生活保護世帯の増加や生活保護をまかなうための財政負担の上昇が懸念される。(WEB記事より)
 
1.生活保護の概要

 生活保護は、憲法25条1項の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」の具体化として制度化されているが(生活保護法)、厚生労働大臣が告示する生活保護基準を尺度とし、資産その他を活用しても不足する分が保護費として支給される。生活保護基準は8種類の扶助(生活扶助、住宅扶助、教育扶助、介護扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助、それぞれのウェイトは後段参照)ごとに設定され、一般消費水準の6割程度を最低生活費の目安としている以外はその採用に関する理論的根拠は明らかでないとされる(加藤他「社会保障法第2版」有斐閣、2003年)。なお、保護の要否判定は、収入認定額を8種類の扶助に上述の順番で充当していき、不足する費用に対して保護費が決定される。
2.生活保護給付水準

 ここで生活保護給付水準と呼んだのは、一般の所得水準の何割ぐらいで生活保護の対象となるかであり、具体的には、家計調査による基準世帯(定義は下図の(注)を参照)の消費支出額に対する生活保護対象世帯の生活扶助基準額の割合を算出した。下図で見られるように、1960年代には4割以下であったのが、1980年代半ばには6割近くにまで上昇した。

 ところが、暴力団関係者が生活保護を不正に受け取るケースが問題となったことがきっかけで、1981年に当時の厚生省が生活保護の適用を厳格化する「123号通知」を知事・市長など保護実施機関に出し、また83年には第2次臨調が小さな政府を目指した「福祉見直し論」を提唱したのを受けて、生活保護を扱う福祉事務所では「水際作戦」と呼ばれる窓口規制を行った。こうした状況の中で、生活保護給付水準も85年の56.4%から86年の45.5%へと急激に下げられた。

 給付水準は、こののち、緩やかに低下していったが、1990年代には、扶助基準額上昇の抑制(あるいは据え置き)以上に、一般家庭の実際の消費水準が低い伸びあるいは低下傾向を示したため、生活保護水準はむしろ上昇傾向に転じている。2002年には17年ぶりに50%を上回った。

 その後は基準額の下げ(03年、04年)、その後の据え置き、及び基準世帯の消費支出額の横ばいの中で、給付水準はほぼ50%前後で推移していたが、09~10年には上昇した。すなわち、勤労母子家庭の収入とのバランスなどを考慮した生活保護母子加算の廃止に見られるように自民党政権下で給付水準の安定化につとめていたのに対して、母子加算の復活を掲げた民主党政権が09年に誕生し給付水準は10年に52.7%まで上昇している。

3.保護率の要因分解

 保護率を、1人当たりの実質GDP生活保護給付水準、失業率の3要素で回帰分析をしてみるとかなりよい結果が得られる。1人当たりの実質GDPは所得要因をあらわし、生活保護給付水準は対象範囲拡大(縮小)要因をあらわし、失業率は景気要因あるいは雇用構造の変化要因をあらわしていいると考えられる。

4.医療扶助

 生活保護は最低限の生活の保障なので、最低限の生活費を上回る負担が生じないよう一般の公的医療保険と異なり医療扶助には自己負担がない。看護婦の宮子あずさ氏はこう言っている。「医療に関して、生活保護の利点は特に大きい。各種健康保険や、高額医療助成を使っても、自己負担は発生する。この自己負担がない分、費用度外視で治療を選択できる。-そんな現実も見てきた。例えば、抗がん剤の効果がなくなっても、中止を拒絶した男性がいた。元が路上生活者だったので、病状よりも居場所を目的とした社会的入院の時期も長かった。彼にかかった医療費は、総額で一千万円を超える。むろん、生活保護で受けられる医療が制限されるべきではない。かといって生活保護の人の方が悩まずに医療が受けられる現実も、腑に落ちないのである。この手厚さゆえ、生活保護を受けると、抜けるのは容易ではない。抜ければ、生活全般の費用のみならず、医療費まで自分で払うのである。段階的に必要な補助だけ受ける仕組みがあれば、今より抜けやすいと思うのだが。」(東京新聞2010年10月18日本音のコラム「生活保護と医療」)
800万人位まで増えれば良いのに!!!