デジブック 『浮遊』

 
浮き草稼業、、、
 
 
風が吹けば飛んでいく
根なし草
 
風が吹けば消えていく
蒼天の雲
 
風が吹けば
 
 
色々な場所で
色々な時間を過ごしてみたい
 
 
労働に縛られる事なく
 
今日は港町でのんびりと
 
明日は砂漠で戦争だ
 
去年の今頃モンマルトルの丘で
スケッチをしてはコーヒーを飲んでいた
 
 
ミレニアムの年には
パースで世紀の変わり目を迎えた
 
多くの人間達に出会った
 
多くの人間は自分と同じで
自分とは違った
 
同じ映画を見ては泣いた
肌の色は違った
 
美味しいと思うものは一緒
優先順位は違った
 
あの娘はいま元気でいるだろうか
あいつはまだ飛び回っているのだろうか
 
温かい温もり
冷たい視線
 
孤独や繋がり
 
 
何時の時代も人間はこうして
死んで行くのだろう
 
記録は僕の脳の中にしかない
写真やビデオはとらない
 
理由は無い
 
敢えて言うなら
 
風の様に来て風の様に去り
残り香だけを残したい
 
生きた証なんていらない
 
生きた形跡も残さない
 
この時代に生まれ育ち
 
この時代に死んでいく
 
風の様に
ただ吹きすぎていく